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メルマガ・バックナンバー

人生の転機となった3200文字

a Day in the Life メルマガ・バックナンバー

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■ 就職1年目の憤怒
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学生時代にワープロ専用機を購入したことで
文章執筆に加え、タイピング技術も上達し
IT系企業に就職した、というところまでは
前回メルマガで書きました。

福岡の大学を卒業し、東京のIT系企業に就職。

しかし、就職活動の際に聞き、約束されていた話が
ことごとく裏切られたり、ウソだと分かっていく。

配属されたプロジェクトは
会社寮から遠く離れた栃木県が勤務先でした。

月曜、朝早く起きて会社寮から新幹線で勤務先へ。
月から木までは日付が変わるまで働き、ホテルに宿泊。
金曜の遅くに新幹線で寮に帰る日々。

上司はパワハラ気質。同期の男は何度も殴られてました。

私のほうがミス多かったのに、1回も殴られなかった。
たぶん183センチという体格、そして
ストレス溜まりすぎて機嫌悪く、目つきも悪かったからでしょう。

遠距離恋愛だった恋人(=今の妻です)が
秋頃に東京へ遊びに来てくれた際は
あまりにも痩せてしまった私の姿を見て驚き
泣いてしまったくらい。

このままでは身も心も崩壊する。

そんなとき、福岡の某IT系企業が
中途入社の社員を募集しているという情報を入手。

社会人1年目の年末でした。

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■ 3200文字に込めた熱意
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応募の際、履歴書や職務経歴書という通常の書類とは別に
手紙を書いたんです。

400字詰め原稿用紙、8枚にビッシリ。約3200文字。

なぜ手紙を書いたのか。

私には自慢できるほどの実績が何ひとつなかったからです。

社会人1年目のヒヨッコ。

新入社員教育を終えた後、携わった仕事は
上司や先輩が作成した設計書に沿って
10本ほどプログラムを組んだだけです。

そのプログラムがどんな機械の、どの部分に組み込まれ
もっと言えば社会における何に貢献するのか
なーんにも分かってなかった。

言われたことを、ただこなしていただけの社会人1年目。

まず、取引先がどういう業務形態だったのかも知らなかったので
業界の書籍を購入し、何度も読み、ある程度理解しました。

そして、おそらく自分が携わっていたプロジェクトは
こういう仕組みを作っていたんだろうと想像ができたので
実績として業務概要を書きました。

しかし、伝えたいのはそこじゃない。
おそらく相手側も業務の話なんてどうでも良かったはず。

社会人1年目のヒヨッコなんだから
貢献なんて出来ていないだろってのはバレバレなわけです。

だから、自分の「熱意」をひたすら伝えるしか方法がなかった。

自分は実績に乏しく、誇れるものはない。
しかし、こんな長所がある。こんなこともできる。
こういうことを出来る自信がある。
今後必死に勉強して、御社にとって貴重な戦力になる。

自分の将来性を買ってください。

そんなようなことをツラツラと3200文字。

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■ 人生最大の緊張
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年明けに中途採用面接がありました。

面接前にいろんなことを考えてしまったんです。

今回の中途採用がダメなら、どうすればいいんだろう。
東京にいる限り、彼女との結婚は無理だな。
東京の会社を辞めて無職になるのかな。

無駄に自分を追い込んでしまい
ものすごいプレッシャーに襲われてしまいました。

私、普段は基本的にあんまり緊張しない性格なのです。

人前で話すときもそんなに緊張しない。
300人の前で1時間しゃべったこともあります。
緊張しなかったし、何ならギャグも放ってました。
ぜんぜん笑ってもらえなかったんですけど。

そんな私ですが、中途採用面接で名前を呼ばれ
部屋に入り、面接官の男性4名を前にしてイスに座り
「それではお名前と年齢を」と言われたとき

猛烈に緊張して、言葉がまったく出ませんでした。

呼吸ができない感じになり、名前を発せなかった。

あそこまで緊張したのは後にも先にもあの時だけです。

ただ、なんとか声を振りしぼって名前と年齢を告げたら
ホッとしたのか、緊張がキレイにスカッと消えました。

あとは普通に面接官の質問に答えていました。
さすがに人生を決める面接ですから
ギャグは放ちませんでしたけどね。

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■ リーダーが教えてくれた顛末
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その中途採用試験に、私は合格できました。

合格して採用されたのは、私を含めて4名。

私以外の3名は、入社して1年以内に
部長や課長などの管理職になりました。

スゴい実績だらけのベテランさんばかり採用されたんです。

会社は「即戦力」が欲しかった。
そんなことは当然ながら分かっていました。

だから、なんで社会人1年目のヒヨッコで
実績も何もない若造が合格できたのか。

合格は嬉しかったけど、正直分からなかった。
他の3名が実績バッチリのベテランばかりだから余計に分からない。

転職して数ヶ月後、最初のプロジェクトに配属されたとき
リーダーは中途採用面接のときに4人いた面接官のひとりでした。

私の歓迎会で、リーダー本人から聞きました。
やっぱり緊張していたのかな。まったく覚えていなかった。

「お前が入社できたのはミラクルだって言われてるんだぞ」

リーダーにそう言われました。

「分かってますよ。自分でも不思議なんです」と答えました。

リーダーは笑いながら、面接時の顛末を教えてくれました。

面接官4名が応募した者それぞれの評価をつけ
誰を採用するのか議論をしていた終盤に

「ひとり、若い人が手紙を送ってきたんです」

誰かがそう告げて、面接官たちに私の手紙のコピーが配られ
しばらく全員が黙々と私の手紙を読んだと。

全員が読み終え、まず社長が開口一番

「この人、採用しましょっか」

そう言ったんだそうです。

残り2人も採用に賛成。

ただ一人、人事部長だけが反対。
「即戦力を取りましょう、他の人がいい」って。

そりゃそうですよね。実績ゼロなんだもん。

後に私の上司となるリーダーが発言。

「彼の将来性、面白そうじゃないですか?」って。

続けて社長が「面白いよね」と。

「これだけ熱意を持って手紙を書いてくる人、見たことない」

そうも言ってくれたそうです。

人事部長も最終的には納得し、私の合格が決定。

「お前、俺のフォローがなければ合格してなかったぞ」

リーダーはドヤ顔で言いました。

ちなみに、唯一反対した人事部長は、入社した私に
めちゃくちゃ優しくしてくれました。イイ人だった。

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■ 文章が人生を変えた
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今回私が話した件って
ブログやメルマガにも当てはまると思うのです。

実績ゼロでも、誇るものがなくても
熱意があれば、誰かが共感してくれるかもしれない。

自分ではそれほど価値がないかなと思っても
誰かにとっては貴重で大切な情報なのかもしれない。

何が正解かは、やってみないと分かりません。
私も中途採用の応募で手紙を書いたとき
何をどう書けば選考でプラスになるか、全然分からなかった。

それでも一生懸命に書き、転職に成功した。

実績ゼロだった私が、手紙のおかげで転職できた。

この事実は何十年と経過した今でも
自分にとって大きな自信となって
心に残り続けてくれています。

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■ あとがき
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当時の手紙は、何度も何度も書き直しました。
人生がかかってましたからね。

実は今回のメルマガも5~6回、書き直しています。

当時の想いがあふれてしまって
めちゃくちゃ文章が長くなり
まとめられなかったんです。

だいぶ整理はしたけれど、それでも長くなりました。
読んでいただき、ありがとうございました。

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